EDの概要~症状の範囲は広いが、治療可能な病気
ED(Erectile Dysfunction)とは、男性器の「勃起機能の障害」あるいは「勃起不全」の状態を指す病気です。
EDは、単純に勃起しない、あるいは勃起の持続時間の長短のみを示すものでなく、もっと広い範囲における「満足な性行為が行われない」「性行為の満足度が低い」状態を指します。
言い換えると、たとえ勃起し射精まで至ることができたとしても、総体的に満足な性交を導くだけの勃起が得られていなかった場合はEDの可能性が残るということです。
かつて、勃起の機能が完全に損なわれた状態は「インポテンツ」と呼ばれていました。
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しかし今日ではEDは「勃起不全以外の状態も含んだ、より広範囲の症状」と考えられています。
また治療可能な病気という位置づけから、現在の医学界においての呼称はEDに統一されています。
パートナーとの性交渉が長期間無い、いわゆる「セックスレス」においては、EDが直接の原因となっている場合と、そうでない場合があります。
前者の場合は、もちろん泌尿器科医の指導にもとづく治療が必要になります。
後者の場合、すなわち直接の原因がEDではない(器質的に
まったく問題がない)状態であったとしても、専門医のカウンセリングや投薬治療によって、その効果的な改善が見られるケースが多くあります。
したがっていずれの場合でも、専門医による診察・治療を受けることは、パートナーとのセックスレスを改善するために効果的なのです。
EDの原因と発生のメカニズム~EDは血管の病気
EDの原因は、心理的な要因で起こるもの(心因性)と、血管や神経の障害によって起こる器質性のものに大きく分けられています。
また心因性・機能性の両方の原因が重なった、「混合性」の場合もあります。
そもそも男性器の勃起とは、性的な興奮によって神経から一酸化窒素(NO)が分泌され、陰茎の筋肉と血管がゆるみ(交換神経が休んだ状態)、陰茎海綿体に多くの血液が流れ込むことによって起きる、ある種の「充血」にいたるメカニズムです。
心因性あるいは器質性の原因により、体内の一酸化窒素(NO)が減少して陰茎の血管が収縮し(交感神経が緊張した状態)、同時に陰茎への血流がとどこおった結果、その充血に至らず(あるいは充血が不十分となって)勃起が阻害される状態がEDなのです。
動脈硬化や高脂血症・高血圧・糖尿病、脳梗塞や前立腺肥大症など「生活習慣病」や「神経系の病気や障害」に起因して神経や血管が傷つき、体内の一酸化窒素の産出量が減ったために陰茎への血流が阻害されて、EDになる場合もあります。
このようなプロセスで起きるEDは、「血管内皮障害」というれっきとした血管の病気です。
動脈硬化などのさまざまな生活習慣病は「最初の兆候がEDとして現れやすい」と言われています。
それはすなわち「EDは生活習慣病のひとつ」であることを示しており、動脈硬化が心臓に現れると心筋梗塞を引き起こしますが、動脈硬化が陰茎に現れた場合はEDを引き起こしているという見方もできるわけです。
ED患者の現状~生活習慣病としてのED
このような生活習慣病の多いアメリカや日本など先進国においては、EDに悩む男性が増加の一途をたどっています。
アメリカのED患者数は、今日では3,000万人に達するとのことです。
日本国内のED患者数は、潜在的患者を含めおよそ1,130万人と推定されています。
程度の差こそあれ、40歳台の男性の5人に一人、50歳台の男性の3人に一人がEDと推測されています。
軽度の心因性EDも含めると成人男性の8割に達するとの報告すらあるほどです。
機能面が衰えてくる高齢者がEDになりやすい傾向があることは確かですが、EDの有病率は30~70歳代までと幅広く、相談者が20歳代であることもなんら珍しくありません。
都会で勤務する30歳代男性の3割が心因性のEDを抱える、とも言われています。
メタボリック症候群と判定された人や、日頃からさまざまな外的・内的ストレスにさらされている人なども、血管の血流が阻害されやすい・あるいは損傷しやすい状態にあります。
すなわち生活習慣の乱れやストレスの蓄積が続くことによって、きわめて細くてデリケートな陰茎の血管への血流が阻害され、EDになる可能性も高まっていくことになります。
EDの治療~泌尿器科における問診と投薬が第一歩
ED治療の第一歩としては、「泌尿器科」において専門医の診察を受け、原因と症状に応じた「ED治療薬」を処方してもらうのが確実です。
EDの診察の基本は「問診」であり、触診による治療ではありません。
以下のような調査票に記入し、それにもとづき専門医と話をすることで、治療の方向性や必要な薬を決めていくのが通常の流れです。
ED問診票(IIEF5) (ファイザー株式会社 ED-info.net)
(安全な投薬治療のため、健康診断としての採血や循環器検査などを行う場合はあります。また投薬治療に効果が見られない場合などに本人の希望により、必要に応じて勃起機能検査を行うことはあります。)
EDの研究・治療の専門組織の日本性機能学会においても「専門医制度」を設けており、全国の専門医を検索できます。
ED相談病医院リスト (ファイザー株式会社 ED-info.net)
日本性機能学会専門医一覧 (日本性機能学会)
代表的なED治療薬~薬の特長とその費用
ED治療薬は、正確には「PDE5阻害薬」と呼ばれます。
「PDE5」とは血管の拡張を阻害する酵素で、このPDE5のはたらきを阻害する薬を服用することによって、勃起のメカニズムを正常化させていきます。
またED治療薬には、上で述べた血流をよくするための一酸化窒素(NO)の量そのものを増やす作用もあります。
現在の代表的なED治療薬としては、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3つがあります。
これらはいずれも、病院で医師の処方が必要な医療用医薬品として承認されたものです(ただし処方は、泌尿器科以外においても可能です)。
それぞれの薬の特長を、簡単にご説明します。
● バイアグラ
世界で最初に開発されたED治療薬。
現在世界中で広く使用されており、その安全性や有効性には高い信頼がある。
効果の持続時間は4時間程度。
● レビトラ
バイアグラに続いて開発されたED治療薬。
効果の持続時間はバイアグラと同程度だが、比較的大容量の摂取が可能。
また食事中の摂取の影響がバイアグラに比べると低いこともメリット。
● シアリス
最新のED治療薬。効果の持続時間が最大36時間程度と長いことが特長。
状況に応じた服用のタイミングや服用量の調節が3つのなかでもっともやりやすい。
継続的に服用する人も増えてきている。
ED治療薬の服用によって心臓に負担がかかるなどの心配をする方もいますが、それは完全に誤解です。
ED治療薬は血管の作用を本来のはたらきにもどす役割があるため、服用によって体のほてりを感じたり、心拍数や動悸が増えることはありますが、それはむしろ心肺機能・身体機能の強化につながっていくものです。
糖尿病や高血圧の方が治療薬と併用してED治療薬を服用することも、基本的に問題ないとされています。
ただし、心臓病でニトログリセリンを服用している方など一部例外的に服用できない人もいますので、病院で問診のうえ処方してもらうのが確実です。
ED治療薬には血管の拡張作用があることから、冷え性の改善や血管年齢の若返り、あるいは頻尿の改善など、ED治療以外にもさまざまなプラスのメリットがあることが判明してきています。
残念ながら、これらのED治療薬は保険適用外のため、全額自己負担となります。
販売価格帯は一錠あたり1,500~2,000円といったところです。
ちなみに、ED用をうたったさまざまなサプリメントや精力剤も市販されていますが、サプリメントは本質的にEDを治療するための薬ではなく、あくまで健康食品・栄養補助食品と位置づけられていることに注意したいものです。
EDと一言でくくっても、原因が心因性・器質性・混合性とわかれていることに加え、たまに勃起ができない程度の「軽度ED」の患者から、まったく性交ができない重度の「完全ED」の患者にいたるまで、症状の程度にも大きな幅があります。
サプリメントの摂取が効果的である場合ももちろんありますが、処置の方向としてまったく的外れで、ほとんど意味をなさないケースもあります。
まずはEDの原因を特定するためにも泌尿器科医を訪れ、その診断にもとづいた適切な薬による治療を受けることをおすすめします。
EDの治療は、生活習慣改善のチャンス
EDは病気である以上、原因を特定したうえでの治療が可能なことも確かです。
たとえ心因性のEDであったにせよ、最終的には神経や血管に対し障害を取り除くための物理的な働きかけを行うことになるので、投薬による治療がやはり効果的なのです。
投薬治療後は薬が無いと勃起が得られなくなるのではないか…と心配する男性もいると思いますが、ED治療薬には依存性はありませんし、投薬治療による症状の改善をきっかけとして、その後は薬無しでも問題を感じなくなったという方も多くいます。
EDを心配事としていつまでも一人心に秘めて悩むのではなく、むしろこれまでの生活習慣を改善するチャンスととらえて、積極的に専門医の診察を受け、その治療に努めてみてはいかがでしょうか。
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